芸術監督の部屋 第2部:プログラム提供型機関としての諸課題

2-16 地域連携プログラム(まちづくりとの連携)の展開と課題

社会包摂プログラムへの展開は大きな意味では地域連携プログラムといえる。しかし、ここでの地域連携は少し狭い意味で使いたい。つまり、それは、ある地理的空間を伴ったエリアにおける地域活性化などのまちづくりとの連携である。

1995年の阪神淡路大震災後、全国のボランティア活動は大きな盛り上がりを見せた。そのころ計画された公立文化施設では、計画段階からの市民参加も盛り上がっている。愛知県周辺では、長久手市文化の家、武豊町民会館、知立市民会館、可児市文化創造センターなどがそうしたプロセスを使って計画が行われた。その主な意図は、単なる箱モノではなく、中身のある企画を計画段階から育んでゆこうとゆうものであり、空間設計と同時に、事業計画や、そこへの市民のかかわり方などを検討するものであった。

通常、公共施設の建設は用地の選定から始まる。そして、それは道路やアプローチ、施設規模の面から地域の都市計画に大きな影響をあたえるので、特に周辺住民とは綿密な検討が行われる。その過程においては、行政の文化担当部局のみならず、建築部局や都市計画部局が関与することになる。そこではどのように地域が発展するか、文化施設がどのためにどのような役割を果たすのかということが少なからず議論される。しかし、建物の完成とともにハード関連の部局は計画から引き揚げ、都市計画と施設の関係づくりは次第に忘れ去られてゆく。これはとても残念なことである。むしろ、文化施設が地域に根付くためには、地域住民や地域の商店街などと積極的な関係性を維持発展させてゆくことが必要になるのではないか。

都市計画的な観点、建築基準法の制約などから、ホールはもっぱら商業地域、あるいはその周辺に建設されることが多い。特に近年では、衰退した地域商店街を再活性化させる目的で計画されることも多くなっている。市民参画型プロジェクトは、単に施設を使って行う文化プロジェクトのみならず、地域の活性化に寄与するような地域に広がりを見せるようなプロジェクトの計画も積極的に行うべきなのではないだろうか。

残念ながら、今、こうしたプロジェクトを積極的に展開している文化施設は少ない。まちづくりとの連携が必要だとは言われても、実際どのような連携をすることができるのか、なかなか文化担当部局の職員にはわかりにくい。むしろ、都市計画部門や商工部門の職員と連携してプログラムを作ってゆくことが必要になると考えられる。まちづくりなどを担当している職員が1,2年でも良いから、公立文化施設に出向し、地域の商店街や住民と連携して市民参加型のまちづくり関連プログラムを計画するというような展開も期待したい。あるいは、地域の商工会などに参加している企業、例えば信用金庫などと連携し、若い職員を公立文化施設に出向させてもらい、商店街活性化に文化芸術関連のプロジェクトを計画してもらう方法なども、地域の活性化に大きな力を発揮すると思う。文化芸術によるまちづくり事業を最初から最後までやり遂げることは大変な労力であるが、担当者の新しいものを創る能力を大きく成長させ、企業にとっても、担当者にとっても大きな将来の財産になると考える。

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