芸術監督の部屋 第2部:プログラム提供型機関としての諸課題

2-7 自主制作事業に自分の施設を使うことができない矛盾

貸館の課題は、一つ一つの貸空間が単独・非連続空間利用を前提にしていることである。多くの施設ではホールは1年前、その他の諸室は半年前に先着順で利用を受付、利用が重なった場合は抽選を行って決定する。そうした基本条件下で、演劇やダンスの公演を練習から上演まで一貫して行いたい場合、どの様なことが起こるのか。まずは練習から本番までの一貫した利用のつながりが単独利用の原則では保証されないということである。貸館として一貫した利用を行いたい場合は、一つ一つの利用について、個別に申請し、利用が重なった場合には抽選等が行われ、利用ができない状況が起こる。実際にやってみると、それはとてもリスクを伴うことが分かる。ある日、練習室の利用ができない場合には、代替施設を探して飛び回ることになる。しかし、多くの場合は、月初めが抽選日なので、一度抽選に外れると、どこでも同じ状態に陥ることになる。

自主制作事業で稽古から上演まで一貫して施設を利用したい場合でも同様である。自主制作型の事業を優先している数少ない公立文化施設は、あらかじめ、利用規定で一般利用の前に自主制作事業のために施設を押さえることも可能にしているところもある。しかし、その先押さえの頻度が多くなると、貸館を期待する市民から、自主制作事業であらかじめ施設を押さえられてしまっては市民利用ができないというクレームをもらうことになる。さらに、多くの施設では、こうした自主制作事業の優先規定を持っていないため、一般利用と同じような申し込み形態をとり、施設の自主創造事業でありながら、自らの施設を利用できないという不合理を味わうことになる。一部の施設、例えば北九州芸術劇場などでは、貸館としない事業専用の大型練習空間(創造工房・稽古場)を備えもっているところも出てきている。今後はオリジナルな作品づくりや自主ワークショップを多く企画する施設においては、このような貸し出しをしない練習・稽古・ワークショップ用の空間を積極的に整備すべきであろう。また、貸館事業として利用申請された持ち込みの企画であっても、それが地域にとって大きな意味がある場合には、行政や公立文化施設との共催事業として実施し、練習から本番までの活動を優先的に取り扱う必要もあるのではないか。そして、このような利用をバックアップするためにも貸し出しを前提にしない練習・稽古・ワークショップ用の空間の整備は必要である。こうした考え方は、これからの公立文化施設を考えるうえで配慮しなければならない課題といえる。

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